タイトル <劇団昴勉強会>
ガラスの動物園
劇団昴勉強会
作・演出 作:テネシー・ウィリアムズ 訳・演出:三輪えり花
上演場所
日程
2005年10月28日〜 10月30日 /三百人劇場3階劇団昴稽古場
出演者 朝倉佐知(アマンダ) 大坂史子(ローラ) 中西陽介(トム) 岩田翼(ジム) 
あらすじ
経済大恐慌の時代、1930年頃のセント・ルイス。
電話会社に務める父が蒸発してしまった一家は、長男のトムが倉庫番をして生計を立てていた。
「何かしたい。」そんな彼の思いも、家族を抱えたままでは諦めに変わってしまう。
南部のお嬢様育ちで、おしゃべりな母アマンダは、昔の想い出だけが心の救いだ。
足が悪く、極端に内気な長女のローラは、外に出ることさえもままならない。
年頃の彼女に母に急かされトムが紹介したのは、同僚の青年ジムだった。
ローラは青年と会ったとたんびっくりして全身を震わせた。
彼こそ高校時代に胸ときめかせたあこがれの人、ジム・オコナーだったからだ。
食事の直後、停電で家中が真っ暗になった。
ロウソクの灯の下で、ジムはローラに劣等感をはね返せと励まし、甘い口づけをかわす。
だが、ジムには婚約者がいた。母と娘の将来に対する夢はむなしく崩れ去った。母に罵られたトムは家をとび出した・・・。
                      
                        ≪舞台エピソード≫

ごくごくまれにですが、台本を1度読んだだけで「この役の気持ちがわかる!」と思えるときがあります。
「自分に似ている!」と勝手に(?)思ってしまうんです。
この作品のジムという役はまさにそうでした。
前向きな時には困っている人を見かけたら励ましの声をかける優しいところ、
一方で、手を差しのべておいて責任に耐えられなくなって逃げ出してしまうズルいところ。

自分の性格の好きなところと嫌いなところをいっぺんに鏡で見ているような人物。

自分のことってその時々で好きになったり嫌いになったり。
なるべくなら自分のことは好きでいたいけど。
でも自分が結局、良い人なのか悪い人なのかって自分ではわからない。

ジムって役の印象もまさにそんな感じでした。
自信と優しさ、そして臆病なところや卑怯なところが入り混じってる。

自分によく似たジムという役の、良いところも悪いところも両方を含めて演じました。
正直なところ「良い人だね」と言われたいです。
でも、ぜーんぶ含めてジムなので「嫌なヤツだ」と言われても仕方ないかなあ。

いつか、ずーっと先になって『ガラスの動物園』を読み返したときには、ジムには似ていたくないと思います。
その時にはその時で、自分の好きなところ・嫌いなところがあるだろうけど、少なくとも今とは変わっていたいな。
少しずつ少しずつでも成長して。
でももしも作品の中のジムもそのあと歳を重ねていくとしたら、お互い40歳になって出会ったらやっぱり似ているのかも。


今になって思うと、僕がジムに似ているように感じたのは、きっとこの作品の登場人物がいつの時代も普遍的だからかな。
だから書かれてから何十年たってもいまだに上演されるし、そして「わかるわかる!」って思える。すごい作品です。
作者テネシー・ウイリアムズに拍手です。

                                                 (2006年6月 岩田翼)

    ガラスの動物園告知ページはこちらから
           


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