タイトル ダンスドラマエモーション
Winter Rose
制作:メディアロッサ
作・演出 原案:構成・荻田浩一(宝塚歌劇団)  演出:振付・ケンジ中尾
上演場所
日程
2003年12月23日   /新神戸オリエンタル劇場(兵庫)
2004年 2月 4日〜7日
/博品館劇場(東京)
出演者 吉野圭吾 星奈優里 岩田翼 Singo(エンブリア) 伊藤明賢 林燈子
あらすじ
恐らく、南フランスか、リヴィエラあたりの、地中海に臨むひなびた避寒地。
時代はそう、60年代初頭…少しだけ遠い過去。
冬の寒さを逃れて「姉」と「弟」」が海辺の別荘へやって来る。
ヴァカンス…。ではなく目的は「姉」の療養。
「姉」は精神を病んでいる。姉弟は「姉」の心が惹かれてやまない、真冬に咲く薔薇の幻影を求めてこの地に来た。
絶え間なく続く潮騒…。そしてその潮騒のざわめき中、陽炎のように立ち現れた「男」
「男」の影に、「姉」の心は揺らぎ、時に慄く。その「姉」を不安げに見守る「弟」
「姉」と「弟」。二人の関係は、姉弟のそれを超えて甘く、危ういほどに近い。
そして、「姉」を惑わすように「男」もまた、妖しく寄り添う。
彼は、「姉」の病んだ心が見せる幻なのか、それとも運命を操る超越者なのか…。
次第に切迫していく「姉」の心理状況。
「姉」の心に封印されていた記憶が蘇るにつれ、病んだ心が求める冬の薔薇の示すサインが
禍々しく浮かび上がる。それは、禁じられた恋の傷跡だった・・・・。
                    ≪舞台エピソード≫

正直なところ、これまでに出会った作品の中で、稽古中、最も悩んだり苦しんだりしたものの1つです。

5本もの出演作品に恵まれた2003年、最後をかざるのは「ダンスドラマエモーション」。
ダンス・歌・芝居のコラボレーションといったところですが、ミュージカルともちょっと違う、不思議な世界です。
ダンスでもストーリー性のあるものは沢山ありますが、そこにセリフ・歌詞が絡み合うことでもっと複雑に。
原案・構成は宝塚歌劇団の荻田浩一氏。華やかな宝塚歌劇にあって、翳と深みのある作風で異彩を放つ
若手演出家です。
出演者も、それぞれのジャンルから集合したスペシャリストたち。
主演の星奈優里さんは宝塚の娘役トップスター出身ですが、在団中から華麗なダンスで評価の高かった方。
そして吉野圭吾さんも『レ・ミゼラブル』などのミュージカルで活躍する一方、ダンスの高い技術で評判です。
また今回、歌を担当するSingoさんは関西で大人気のアカペラグループのヴォーカル。
こうなってくると、僕はさしずめ演劇界代表ということになるんですねぇ・・・。これは大変、がんばらなきゃ!
ということで稽古に突入です。

12月初旬、まずは振り付けからはじまりました。そこにセリフがはさまったり、回想シーンにうつったり・・・。
普段、芝居のなかで、たとえば「バカ!」って言われたら腹が立ったり悲しくなったりしますが
ダンスという抽象的なものからこれを受け取るのはホントに難しい。
どういうつもりで踊ってるのか、振り付けの段階ではなかなかわからない。
だからジーッと振り付けを眺めること数日・・・。うーん、わからん。
荻田先生の頭の中はどうなってるんだろうと話しをしてみるけど、まだわからん。

僕はいつも芝居をつくるとき、とにかくわかりやすくしていこうとしていたんですね。
「この人は何で怒ってるの?」とかそういう事が具体的になればなるほどいいだろうと。
だから今回も、わからないなりに勝手に決めてやってみる。すると荻田先生はそれをくつがえして
もっとどうとでも取れる方向にダメを出していく。混乱!

それからしばらくして、歌担当のSingoさんが稽古場に登場。
はじめて生の歌声を聞いて、なんか非常に感動してしまったんです。
悲しいけど思いやりにあふれる歌詞。Singoさんが何を思ってこの歌を作ったのかはわからないけど
自分の中にある何かのスイッチを押された感じでした。
「ああ、これかな」と思いました。
歌でもダンスでも、芝居や絵でさえも、観る側や聴く側は自分の中のイメージで想像して感動しますよね。
だからみんな、自分のそれまでにしてきた経験とかによって感動したり笑ったりするポイントがちがう。
それが抽象的であるほど、そのちがいが大きくなってくる。『Winter Rose』はそんな作品なのかもしれません。

本番1週間前からは新神戸へ移動。街はクリスマス一色。ルミナリエが輝いてる!
ところでこのカンパニー、人数が少ないこともあって本当に仲が良かったんです。
稽古が終われば毎日みんなで食事に行ったり・・・。
稽古場も劇場も滞在しているホテル内にあって、すっかり合宿状態でした。
そんな仲の良いカンパニーでも、この作品に対するみんなのイメージが完全に一致することはありません。
それが、人が集まって作品を創る難しさであり、素晴らしいところ。完成はありません。だけど日々進化し続ける…。
WinterRoseは特にそんな作品だったんだと思います。
二ヵ月後の博品館では、更に飛躍的な進化を遂げ皆様の前にお披露目できたと思っています。

そしてまたきっとやりますよ!!
さらなる熟成を経た『Winter Rose』観たくありませんか?

                                                (2004年5月 岩田翼)

★舞台写真★

Winter Rose/星奈優里さん・岩田翼さん Winter Rose/岩田翼さん
Winter Rose/星奈優里さん・岩田翼さん Winter Rose/星奈優里さん・岩田翼さん
Winter Rose/吉野圭吾さん・星奈優里さん・岩田翼さん Winter Rose/星奈優里さん・岩田翼さん

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                                Photograph by 瀬川 直子

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