★16世紀中葉のフランス。もうこの言葉だけで、「????」が頭の中を回ってしまう、わたくし。
フランスといえば、思い浮かぶのはベルサイユのバラ。それはフランス革命。でもそのフランス革命ですら一体何が起こったのやら
さっぱりわからず…。
日本史ですら危うい私に、世界史を知れ!フランス王朝人間相関図を理解しろ!とは到底無理なお話し。
こんな私に、次なるお芝居「マルゴ〜王妃にして王女〜」が理解できるのでしょうか…。
非常に不安になった私は、「こんな気持ちになるのは私だけじゃないはず!」と思い、こんなページを作ってみました。
『もしかして私だけかもしれないけど、
16世紀のフランスのことをちょっと知っておくにはいい感じの歴史的背景について』
…どうせ私だけが理解できてないんだと思いますけど>イジイジ ざっと読むと、せめてせめて翼さんが演じる三人のアンリに
ついてくらいはわかるかも!?と勝手に思っているのですが…
またこのページを作成するにあたり、参考にさせていただいたサイトさん「ユリカノヒト」にはもっともっとディープで深いフランス史
及び、フランス王朝についての文書が山盛りです。ぜひもっと詳しく知りたい!と思われる方は、ユリカノヒトに遊びにいってみて
ください。では…いってみましょう。
人物紹介
マルグリッド・ド・ヴァロア (通称マルゴ) |
アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシスの娘。 天の女神と言われたほど美しく、グラマラスで、ラテン語、イタリア語、スペイン語をはじめ 科学に至るまであらゆる教育を受け、詩や散文も作る才女。 恋に対しては奔放で、淫婦マルゴとあだ名され、兄・弟とも関係があったとされる。 ユグノー戦争のおり、王権存続の危機に瀕し、プロテスタントのナヴァル王(後のアンリ4世) と政略結婚させられるが、生涯男女の愛情で結ばれる事はなかった。 後に離婚。62歳で死ぬまで自由奔放恋に生きたとされる。 |
カトリーヌ・ド・メディシス (マルゴとアンリ3世の母) |
フランス国王アンリ2世の妻。マルゴ・シャルル9世・アンリ3世の母親。 最初、アンリ2世の兄であるフランスワド・フランスの嫁になるかと思われていたが 地位や身分の違いにより、弟のアンリ2世と結婚。しかしフランソワド・フランスの急死 (毒殺された)により、アンリ2世が即位、フランス王妃となる。 そのご、不慮の事故によりなくなったアンリ2世に代わって摂政の座についた。 夫の死後、生涯喪に服すため、黒い喪服を着ていた。 その後息子たちを次々に王位につけた(特に幼いままに王位につけたシャルル9世に ついては母の権力は猛威を振るい、全ての実権が彼女にあったともいえる)が、 のちに息子たちは全員死亡。 ユグノー戦争のさなか、カトリックとプロテスタントの和解をはかるため 娘、マルグリットと、プロテスタントのナヴァル王とを政略結婚させるなど 和解を図ろうとするが、失敗。サン・バルテルミーの大虐殺の首謀者でもあるため、歴史に 名を残す悪女とされる。 |
アンリ・ド・ブルボン (アンリ4世) |
プロテスタントの首領ナヴァル公アンリ王。 カトリックとユグノー(プロテスタント)の和解の象徴として マルグリット・ド・ヴァロア(マルゴ)と政略結婚。 アンリ3世暗殺されたのち、カトリックに改宗して、フランス王位に就く。 ヴァロア王朝は断絶。ブルボン王朝が始まる。 |
アンリ3世 (アンジュー公爵) |
カトーヌ・ド・メディシスの三男。 マルゴには兄に当たる人物。 ポーランド王に就いていたが、兄王シャルル9世の死によりフランスに呼び戻され フランス王となる。 宗教戦争のさなか、アンリ3世はプロテスタント側に歩み寄り国内平定を しようとしたが、ギーズ公アンリを中心とするカトリック派が反発。 これに、アンリ・ド・ブルボン(プロテスタント派) が加わり、三アンリの争いになった。 彼は同性愛者であった。したがって妃をとらせたが子供が生まれるはずが無く、 カトリーヌが美女という美女を宮廷に招き夜毎裸女の饗宴を催したが結局は彼も子供が無いまま ノストラダムスの予言どおりドミニコ会の修道士ジャック・クレマンに暗殺される。 |
ギーズ公アンリ |
カトリック派キーズ家の中心人物。物語の上では、マルゴの愛人とされる。 マルゴの母后カトリーヌ・ド・メディシスは コリニー提督(プロテスタントの総師)の暗殺を彼に依頼。アンリは彼の父を暗殺した人物が コリニーであると信じていたため、コリニーを暗殺。 マルグリット王女(マルゴ)と、プロテスタントの首領ナヴァール公アンリ(後にアンリ4世)との 婚礼のため、パリにやってきていたプロテスタントをカトリック派が大虐殺した事件が、 サン・バルテルミーの虐殺である。 その後、カトリック同盟を結成。国家さえもしのぐほどになる。 |
ふむ…これだけ見ているだけわかった人は偉い!私、一読しただけでは意味がわかりません(苦笑)
ではもう少しわかりやすく歴史的背景を知るために、人物紹介の中で出てくる用語について簡単に説明しましょう。
カトリック派 (ローマカトリック) |
死後地獄へ行くかいかないかは、ローマ教会とその聖職者の 意思による。とされている。 よって、教会に寄付したり、ミサに出席する信仰義務を果たす事で 地獄から救われると考えられている。 信仰の拠り所は、「教会」。お金持ちや貴族を中心に信仰が広がったのもうなずける。 |
プロテスタント (新教) |
死後地獄へ行くかいかないかは神の意志のみによる。とされている。 よって、プロテスタントによる教会は信者が聖書を中心に集まる 学習の場であって、聖職者は単なる教師。 信仰の拠り所は、「聖書」。偶像崇拝は救済を妨げる(聖職者を神と信仰することですね) とし農民や、貧しい貴族などにより信仰された。 |
サン・バルテルミーの虐殺 | パリに始まり全国に広まったフランスのカトリック教徒によるプロテスタントの大量虐殺事件 摂政カトリーヌ・ド・メディシスとギーズ公アンリが画策したとされる アンリ・ド・ブルボン(のちのアンリ4世)とフランス国王シャルル9世の妹マルグリットの婚儀のため パリに集まっていたプロテスタント派(ユグノー)の 首領コリニーをはじめとするプロテスタント派貴族の多くが殺害された |
同じ宗教でも、心の拠り所が違うだけで大量の殺戮をしたり、戦争をしたりしてしまうのがこの時代の特徴なのでしょうか…
国内で起こる宗教戦争のおかげで国家は衰退していたようです。
この歴史の渦に巻き込まれるのが、マルゴであり、それを取り巻く三人のアンリ。
恋の行方などについては歴史を調べるだけでは到底わからないので、次は映画の「王妃マルゴ」でもう少し理解を深めると
しましょう。
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多分、上に書いた歴史的背景を知ってから見るのがベストです。恐らく何もわからず
見てしまうと、意味がわからないうちに人が大量に殺されていく…という印象を受けて
しまう可能性があります。(私はそうとってしまいました、最初)
歴史的背景を知った後でみると、少しはこの中に描かれていることの意味を理解で
きるようになるし、人間相関図もかなり理解できます。
また、この中でマルゴが本当に愛する人物としてプロテスタントのラ・モールという
人物が出てくるのですが、今回のお芝居にこの人物は出てこない模様です。
翼さんが演じるのは、マルゴと結婚するナヴァル公アンリ(アンリ・ド・ブルボン)と、
マルゴの愛人であったギーズ公アンリと、マルゴの兄でポーランド王になる前夜
マルゴを屈辱的な目に遭わせる、アンジュー公爵
(のちにシャルル9世死後フランス王アンリ3世となる)です。映画を見ていると、
アンリ3世がどれなのかイマイチわからなくなるときがあったのですが、
映画の中で最初から国王であるのは、シャルル9世で、その玉座を虎視眈々と
狙っているのが、アンジュー公爵。カトリーヌ・ド・メディシスがもっとも愛した息子だといわれています。シャルル9世は
そのことも大変気にやんでおり、自分が王位についているよりも、アンジュー公爵が王位につくほうが、母后が喜ぶと思っていました。
ちなみに、マルゴはシャルル9世とも、アンジュー公爵(アンリ3世)とも関係を持っていたとされ、
それゆえ妖婦・淫婦と呼ばれるに至ったようです。なるほど、映画を見るともうちょっと理解が深まる模様…
☆彡映画の原作はフランスの文豪アレクサンドル・デュマの同名歴史小説です。
もし、まだ時間がある!という方は、
この小説も読んでおくと更に、更に理解が深まるかもしれません。
↓わからんなりに理解したと思われるマルゴの人間相関図
(かなり怪しいので100%の信用はしないで下さい(苦笑))
こんな付け焼刃な知識で果たして理解できるのであろうか…と不安な気持ちもありますが、なんにせよ勉強になりました。
映画では、アンリ3世とマルゴは関係があった。となっているけど、実は歴史の上では、アンリ3世は同性愛者であったとか
シャルル9世に関しても、歴史上ではサン・バルテルミーの虐殺の重圧で死に至ったことになっていますが、映画では最後に
マルゴの夫、ナヴァル公アンリと朋友となり、母后にもマルゴにも内緒にしていた家庭をみせるまでになっています。
歴史的背景にとても興味深いことがたくさんありますが、映画のマルゴでは、国家の運命に翻弄されながら生きるマルゴ
の姿がただ妖婦・淫婦と呼ばれる王女や王妃なのではなく、非常に愛情深く、慈悲深い人物であることがわかります。
さて…このマルゴがどのように戯曲化され、三人のアンリをどのように翼さんが演じ分けるのか。そして、普段(といってもそんな
に詳しく存じ上げないのですが)清楚で可憐な沢樹くるみさんが、妖艶で奔放な恋をするマルゴをどんな風に演じられるのか?
また歴史に名高い悪女、カトリーヌ・ド・メディシスをまだ、母と呼ぶには到底若く、お美しい香坂千晶さんが、どのように変身し
演じられるのか。非常に楽しみなお芝居です。そして、WinterRoseに引き続き、きっと素晴らしい作品に仕上げてくださっている
ことでしょう、荻田先生。素敵なお芝居を楽しみにしています。
Special Thanks! yurikanohito by jinko